エンジニア日記

プロダクト開発をしてるアラサーエンジニア

「スタンフォードの自分を変える教室 」を読みました。

どんな本?

人間の「意志力」、「自己コントロール力」とはを、科学的に証明された事実を基に解説された本です。 心理学や経済学、スポーツ科学、学生への試験的な実験など、様々な分野の研究結果から「意志力」、「自己コントロール力」がどのような仕組みになっているかについて記載された本です。

「つい仕事を先延ばしにしまう」や「ダイエットや禁煙にチャンレンジしたけど途中で挫折してしまう」という悪しき行動を取ろうとしたとき、その時人間はどのように感じて、どのような決断を下してしまうのか。 そしてその悪しき行動を取らないようにするには、どういう思考や訓練があるのかについて学べました。

「意志力」とは

「意志力」

本書で書かれている「意志力」とは以下の3つのことを言っています。

  1. やる力
  2. やらない力
  3. 望む力

1.やる力

自分のやるべきことをやる力、やりとげる力。
エスというときにイエス!と言う。
脳科学的には左脳が引き受けている。

2. やらない力

悪しき行動、習慣をやらないようにする力。
ノーというときにノー!と言う。
脳科学的には右脳が引き受けている。

3. 望む力

自分が最終的にどのような結果を期待しているか、どのようになりたいかの軸となる目標。
本書では「肝心なときに自分にとって大事なモチベーションを思い出す」力と定義されています。
例えば「つい仕事を先延ばしにしまう」に対する望む力としては、「昇進して責任のある仕事をまかせてもらいたい」というものです。
脳科学的には前頭前皮質が引き受けている。(以下、wikipedia引用)

前頭前皮質による機能を表す最も典型的な用語として、実行機能 (executive function) がある。実行機能は対立する考えを区別する能力の他、現在の行動によってどのような未来の結果が生じるかを決定する能力、確定したゴールへの行動、成果の予測、行動に基づく期待、社会的な"コントロール" (もし行ってしまったら、社会的に容認できないような結果を引き起こすような衝動を抑制する能力)に関係している。

望む力は前頭前皮質で管理されているので、悪しき行動を取ろうとしたとき、本来自分が望んでいる結果を思い出し、やる力とやらない力を行使することができるようになります。

脳は1つでも「自分」は2人いる

自分の中には「賢い自分」と「だらしない自分」の2人が共存しており、自分にとって悪しき行動を取ろうとするときに「だらしない自分」が顔を出してくる。
この「だらしない自分」に『なまけもの』等の名前を付けようと言っています。
名前をつけることで、そういう自分になりかけた時に「賢い自分」が気付き、思いとどまるキッケカになるという小技があるそうです。

「意志力」を鍛える

「意志力」は湯水のように無限に湧き出るものではなく、ある程度の限界があります。
その限界を引き上げる訓練として「スケジュールを立てて、立てたスケジュール通りの行動を繰り返す」ことで「意志力」が全般的に引き上げられると紹介されています。
他にも「利き手ではないほうの手を使って食事や歯磨き、ドアを開けたり」することで鍛えられるそうです。

どうにでもなれ効果に立ち向かう

掲げた目標を少し挫折した場合、どうにでもなれ効果が発生します。
(ダイエット中なのに高カロリーの物を食べたり、禁煙中なのに1本吸ってしまったり、仕事で叱られたとき)
どうにでもなれ効果が発生すると、さらに過食をするようになったり、1本吸ってしまったから残りの箱も全て吸ってしまおう。という行動によく出てしまいがちです。
これについての対策として紹介されているのが「なぐさめの言葉でどうにでもなれ効果が軽減される」です。
とある研究で、ダイエット中の2つのグループにドーナツをまるごと一つ食べさせた後、片方のグループにのみ「あまり自分に厳しくしないように、誰だってときには自分を甘やかすこともあるってことを、忘れないでくださいね。」と慰めの声掛けをし、そのあとにボウル入ったお菓子を自由に食べても良いという実験をしたそうです。
この研究の結果は、慰めの言葉をかけてもらったグループは、もう片方のグループよりボウルのお菓子が半分以上残っていたそうです。
慰めの言葉をかけてもらわなかったグループは、ダイエット中なのに・・・という罪悪感から「望む力」を正常に行使できなかったのだそうです。

現在私の会社に仕事が思うようにいかず、一つ資料の修正を行う度に上司から手直しを求められることを繰り返している社員の方がいます。 やる気がない部類の人ではなく、むしろ会社に貢献したいという気持ちが話の節々からも感じられる方なのですが、繰り返えされる手直し依頼の中でひどく「罪悪感」を感じてしまい、本来達成するべき目標(前頭前皮質にある最終的なゴール)をなかなか思い出せずに苦しんでいたんじゃないかなとこの本を読んでふと感じました。